新幹線「ひかり」や山手線などがゴーゴーと音を立てて、ひっきりなしにすぐ脇の高架線を通ってゆく。
JR「有楽町」駅からほど近い9階建ての松井ビル。昇降速度のユックリ度では都内有数(!?)のエレベーターに身を委ねて、5階にある「渡辺プロ」の事務所のドアーを開けた。その日「NHKのドラマに出ていた少女が、歌手デビューすることになった。」という訳で、さっそく取材にきたのである。間なしに鳴る電話のベル。忙しそうに立ち働くスタッフ。相変わらずの活気にあふれたオフィス。「今、チョット他のセクションに行ってるから・・」担当マネージャーの声に、それならチョット用足しにとばかり、トイレへの踊り場に出た時、下からトントンと上がってくる少女とバッチリ目があった。前髪をひっつめにして、おでこ丸出しの愛くるしい丸顔、白のミニスカートと同色の膝までの編みあげブーツがよく似合い、直感! この娘かな?
「君はもしかしたら・・・?」
『ハイ、小柳ルミ子です!」
今や、数々の人生経験を積み、清濁合わせ呑むベテラン歌手に成長した彼女だが、あの時の鮮烈な出合いが忘れがたい。
  NHK「虹」を未見だったこともあるが、ハキハキした利発そうな受け答え、弾むような肢体、およそタレントらしからぬ(ドラマに7ヶ月出演していたのに)素朴な魅力(それは文字どおり”青い果実”って感じだった。)・・今も脳裏に鮮やかに蘇える。
それとおどろいたのは、そのおゲラぶり。よく笑うっていうこと。私がひょうきん者ということもあるが、インタビューの後半は笑い声の方が多かったのではと記憶している。確か、得意なスポーツは卓球という話から、「お母さんも好きなんです」ーー「それじゃあ食前食後に親子で卓球だ?」なんてたわいないやりとりから、笑いが多くなり、実に楽しいインタビューだった。よく笑うということは、よく泣くにも通じ、その後。しばしば感涙にむせぶシーンにも接したが、それだけ物事に感動出来るタイプなのだろう。
年齢を重ね、辛酸をなめる度に、その涙は悔恨や情念を帯びるようになったようだが、最初の取材で見せた’純’な気持ちと、笑いじょうごでもある感受性の豊かさから将来はきっと大物になるという予感に狂いはなかった。



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